私の長男がまだ小学校1年生くらいの時の話。とてつもない大けがをして、救急車に搬送されたときのことです。父親である私が、目の前で大けがをした息子に対して、どんな対応をしたのかみなさまにご紹介します。
真冬の公園で、小学校1年生の長男とサッカーをしておりました。公園を楽しく走り回り、サッカーボールを追いかけ、ボールを取り合います。本当に楽しかった。そんな時に息子の身に大事故が起きました。
その公園には危険な場所があったのです。公園の中央部分は、普通に土のグラウンドですが、周りには遊具(ブランコ、滑り台)があります。そしてもう一つ、コンクリートでできた舞台のような場所があるのです。ここが非常に危険な場所でした。
私も父親として不注意でした。つい息子とのサッカーで、ボールの取り合いが面白く、公園の中央でやっていたボールの取り合いも、いつの間にか端の方へ端の方へ移動しており、私が気付いた時にはもうすでにコンクリートの舞台のそばまで移動していました。
そんな時、息子が木の根っこにつまずき、まさに宙を舞いました。「あぶない!」私は思わず叫び、その瞬間は月並みですが、息子が宙を舞っている姿がスローモーションのように覚えています。そして息子は頭から落下し、コンクリート舞台の角に額をモロにぶつけてしまったのです。
私は全力で駆け寄り、「大丈夫か!?」と大声で叫んで息子を抱き寄せます。すると息子の額からは、まるで水道の蛇口から勢いよく水を出すかのように、血が噴き出しています。そして子供はぐったりとしています。正直なところその時私は、息子が死んでしまうと思いました。
直ぐに我に返った私は、まず止血をしなければと考えました。もう凄い勢いで血が噴き出しているため、失血死してしまうのではないかと思わんばかりの勢いで血が噴き出していました。私はポケットからハンカチを取り出しましたが、小さすぎて役に立たないと思いました。もちろんタオルなどありません。
そこで私はおもむろに服を脱ぎました。真冬だったのでセーターを着ていましたが、上半身裸になり、インナー代わりに着ていたTシャツを脱いで、息子の頭にぐるぐる巻きにして、きつく締めました。見る見るうちに血で染まっていきます。そして携帯電話を取り出し、救急車を手配しました。
そして、自宅にも電話をかけて、妻に一部始終を簡単に話し、公園に来てもらいました。真冬でしたが、寒さなど一切感じませんでした。とにかく息子の額の傷口を渾身の力を込めて塞ぐ。これだけに集中しました。しばらくすると救急車が来て、救急隊員による応急処置のうえ、病院に無事に搬送されました。
息子は額を5cmほど切っていましたが、おかげさまで大事には至りませんでした。本当に事故の瞬間は生きた心地がしませんでした。血の噴水のように凄い勢いで出血しているのを目の前で見たら、恐らく誰でも、とてつもなく動揺するのではないでしょうか。
息子と家に着いた時、妻に酷く怒られるのではないかと思っておりました。それは私が父親として不注意だったので、息子に大怪我をさせてしまったのですから、甘んじて受け入れなければと、どんなに責められても謝るつもりでした。ところが、妻の反応は私の予想とは全く違う意外な反応でした。
妻は事故が起きてしまったことよりも、息子の怪我による出血を止めるため、公園のど真ん中で、真冬にもかかわらず、自分の衣服を脱いで息子への応急手当てをしている姿に、感動してくれたようで、ねぎらいの言葉があっても、責める言葉は一切ありませんでした。
そして、息子の血で染まったTシャツをきちんと洗濯して、私に返してくれたのです。きっと息子の命を繋いだTシャツとの思いがあったのかなと今では感じております。
【教訓】
大事故など想定外の出来事が起きた場合、月並みですが落ち着いて行動することが大切だと思いますが、それ以上に大切なことは、「今考えられるできることは全部やる!」これに尽きるのではないでしょうか。悩む暇があるなら最善と信じてやる!子供の為なら真冬でも裸になることが出来るのです!そして、恐らく命も賭けられるのでしょう。それが父の愛です。
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