部長や課長などの管理職は、まだまだ当面、昭和生まれの方が大半でしょう。そんな昭和生まれの私の経験談です。人の考えを変えるのは難しい。そんな話ですが、このエピソードを通じて、みなさんの部下育成のお役に立てば幸いです。
【エピソード】
部下の係長と主任との会話。係長が主任に説明します。「いいか、A=Bなんだ。そしてB=Cなんだ。だからA=Cになる。分るよな?」すると主任は言います。「いえ、なりません!」
すると係長は半分怒りながら言います。「何言っているんだ。A=Bこれはいいよな?」主任は頷きます。続けて係長が「B=Cこれもいいよな?」主任は頷きます。
係長が続けて言います。「じゃあ、A=Cになるよな。分るよな?」すると主任は言います。「いえ、なりません!」(なんだって~!!)
係長は何度説明しても納得しない主任に愛想が尽き、課長(当時)である私に報告してきました。「課長、こいつ(主任)はだめですよ。何度言っても理解できない。」
さらに係長は続けます。「私はこいつ(主任)の面倒を見れません。無理です。言葉が通じないんですから。」かなり興奮気味に私に報告してきました。
確かに主任は、抜けているところがあります。しかし、とてもまじめで、不器用ながらも一つ一つ仕事を積み重ねるタイプです。
一方で係長は、どちらかというと天才肌で、頭の回転が速く、物事を合理的に考えられるタイプで、まさに将来出世する典型的なタイプでした。
そうです。正反対なんですよね。。。。私はどちらかというと合理的に考えるタイプなので、係長のいうことはよく理解できますし、正しいと思いました。しかし、主任は頑なに違うと言い続ける謎の現象が!
みなさん、なぜ、主任にとっては、このA=Cが成り立たないか分かりますか?
天才肌の係長は、仕事を効率的に進めるため、Bを省略しているんですね。一方で不器用ながら確実に仕事をこなす主任は、Bを省略することはできないんです。
文字だけでどれだけ伝えることができたか難しいところですが、自分が正しく、教科書に載っていることであっても、相手が必ず正しいと同意してくれるとは限らないということです。
【まとめ】
確かに数学の世界や、理屈の世界では、A=B,B=CならばA=Cという計算式は当然成り立ちます。
しかし、実際に仕事をしている時には、それぞれの社員ごとに考え方があります。相手のやりやすいやり方こそが正しいということもあります。
上司は、標準的な、または革新的なやり方を教えて、まずは「基本の型」をできるようにします。そして、部下が応用できるようになったら、それを見守りましょう。
あまりにもおかしな方向に変形しなければ、許容するのも上司の器かなと考える今日この頃です。
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