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ポンコツヤローの異世界放浪 LV4

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②ポンコツヤローの異世界放浪
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LV4:ポンコツパーティの出来上がり!

 いよいよゴブリン討伐に出発することになりました。しかし見るからに“使い古した”武器防具を装備し、とても“フレッシュな大型新人”とは言い難い、ポンコツなパーティの出来上がりです。そんな時にヤナがため息を付きながらひとこと言いました。

 「普通異世界に飛ばされると、王様とかのバックアップバッチリで、最初から新品フル装備だろうよ。なんだよ、このポンコツな装備は・・・」そしてシゲも続きます。「そうだよ。ゲームなら王様が宝箱くれて装備とお金がもらえるはずだ。王様はいないのか!」

 モチベーションが下がっているみんなを見てタカが言いました。「TVやゲームの世界ならそうだろうよ。ここが異世界だろうとこれが現実だ。どんなにポンコツな中古装備だろうがこれが俺らの生命線。文句を言う暇があったら、腕を磨いて稼ぎを増やし、みんなで黄金の装備を身にまとえばいいじゃないか。やってやろうぜ!」

 するとカズキンが「そうだ。稼いで金貯めて、凄まじい武器を買いそろえようぜ!」そしてみんなが口々に「そうだ稼ごう!」、「やってやろうぜ!」とどんどん雰囲気が明るくなってきました。そしてカズキンが「よし!出発しよう」と声を上げます。そしてみんなが「おー!」と一斉に声を上げるのです。

 街からしばらく歩き、村というよりは砦のようなものを発見します。ヤナが「ここがゴブリンの拠点だな!」そう言うとみんな「そうだな。間違いない」と応じます。早くも乗り込もうとするみんなを冷静なブーが一旦制止し、みんなを集めて言います。

 「みんな落ち着け、まずは偵察だ。例えゴブリンといえども、相手も刃物を持っているはずだ。ゴブリンが何匹いるのか、ホブゴブリンなど強い敵がいないのか、ゴブリンたちの配置はどんなふうになっているのか、それを調べてからどいつから仕留めていくかを考えよう。」ブーの意見にみんな賛同します。

ブーは続けて、「悪いがアンザワ(シーフ)、カズキン(忍者)に偵察に行ってほしい。もしヤバかったら全力で逃げてきてくれ。俺たちと合流した時点で、敵の数が大したことなければ返り討ちにしよう。もし多いようだったら、逃げよう。初戦だから油断なく慎重にやろう。万が一にも死ねないからな。」ブーの意見にみんな賛同します。

 アンザワとカズキンがさっそうと偵察に出ました。すると5分も経たないうちに最悪の状況が始まりまってしまいました。・・・・(ドドドドドド!!!)たくさんの走ってくる音が聞こえます。「バックレだ~~!」ゴブリンの軍勢に追われているアンザワが叫びながら逃げてきます!

ヤナが「やべ~アンザワのやつゴブリンしこたま連れてきてるじゃねーか!」そしてミツが「ざっと見て20匹いや30匹以上いないか??」と動揺が隠せません。いつも無口なタクボクですら「逃げたほうがいいんじゃないか?」既に逃げる準備をしています。

 するとヤナが言い放ちます!「こんなザコなんかにゃ負けね~~!俺が魔法ぶち込むから、ゴブリンが怯んだすきにみんなでタコ殴りだ!」シゲが元気よく「オウ任せとけ!」と言います。すると冷静なブーが「待て、一旦退却だ!」そう叫びますがヤナとミツが魔法を放ってしまいました。「クエイク」(ヤナ)、「ファイアーボール!」(ミツ)

※「クエイク」:大地系の初歩魔法。地面を揺らす効果がある。

※「ファイアーボール」:火系の初歩魔法。小さな炎の球を打ち出す。

魔法がまさにスタートの合図となり、ブーを除き全員突撃します。クエイクの魔法効果により大地が揺れて、ゴブリンが何匹か転倒しました。ところが、ここでまさかの展開が待ち受けておりました。なんとアンザワも転倒してしまったのです。

またミツの放ったファイアーボール!ここでもまさかの展開が発生!うまい具合にゴブリンの群れと距離を取っていたカズキンに直撃!カズキンが転倒しながらゴブリン数匹を巻き込み吹っ飛んでしまいました。魔法攻撃で先制したはずが、いきなり大ピンチになってしまったのです。

とんでもない事態を引き起こしたヤナとミツが立ったままボーゼンとしています。他のメンバーも味方が巻き込まれたこと見て、一旦突撃を止めます。しかし・・・・アンザワとカズキンの周りに、ぞくぞくとゴブリンが集まり、執拗に攻撃を繰り広げています。二人とも防戦一方です。

シゲだけがそのままゴブリンの群れに突っ込んでいきます。ブーは「シゲ!下がれ、下がれ!」必死に叫びますが、全く声が届きません。シゲはゴブリンの群れに突っ込みバトルアクスを振り回しますが全く当たらずにいつの間にか取り囲まれてしまいました。

タカ(だめだ・・・このままでは全滅してしまう。)。まずタカは近くにいた聖騎士のタクボクとマジックユーザーのヤナを捕まえます。そして「とにかくカズキンを救出して、あの森の中まで逃げてくれ!それだけでいい。頼む。」二人は即座に了解し、カズキンを取り囲むゴブリンを追い払って、森に向けて逃げ始めました。

次にタカはブーとミツを捕まえます。そして「とにかくアンザワを救出して、あの森の中まで逃げてくれ!頼む。」二人は即座に了解し、アンザワを取り囲むゴブリンを追い払って、森に向けて逃げ始めました。そして残るはシゲです。

タカ(ヤベー・・死ぬかもな・・)そうつぶやくと、シゲの元に単身乗り込みます。幸いシゲは生きているものの、至るところを短剣刺されておりケガをしています。ただ、思いのほかダメージは少ないようで、相変わらずバトルアクスを振り回すものの、ちっともあたりません。

そんな中タカがゴブリンを薙ぎ払い、シゲに近づき耳元で叫びます。「シゲ!バックレるぞ。みんな既にバックレている。死にたくなかったら全力で森へ走れ!」ようやく自分の置かれている立場を理解したシゲは、なんと助けに来たタカにも目もくれず、バトルアクスを放り出して逃げ出しはじめました。

しかしシゲは足が遅いため、後ろからゴブリンに短剣でグサグサ刺されています。タカはシゲを追いかけるゴブリンに追い打ちをかけ、ゴブリンの群れを自分に引き付けました。シゲがある程度遠くに離れたところを見計らって、ピンポイントで魔法を放ちます。「ライトニングボルト!」

雷撃が一直線に伸び、集団となっているゴブリンたちの中心を真っ直ぐに貫きます。いきなりの雷撃に驚いたゴブリンたちが混乱している隙に、タカは森に向けて全力で逃げ出しました。そしてなんとか無事にみんなを見つけることができました。

「タカお疲れ!良かったよ合流してくれて。もしかしたらもう駄目なんじゃないかと思ったよ。」そうブーが言います。「タカの機転のおかげで全員助かったよ。無事だ。」(シゲの声)「いでぇぇぇ~~~」・・・そしてタカは「本当に良かった。一時は全滅かと覚悟したよ。」と言います。(シゲの声)「いでぇぇぇ~~~」・・・

 「ごほん。ところでブー、みんな無事?なのは分かったが、被害状況はどうなんだ?」(シゲの声) 「いでぇぇぇ~~~」・・・ブーが冷静に報告します。「アンザワが軽い切り傷、カズキンが軽いやけどだ。すぐに治ると思う。シゲは短剣での刺し傷が多いが命に別状はない。今治療中だ。」その報告を聞いて私は「ひとまず良かった。」

と言うとまたシゲのうめき声が聞こえます。 「いでぇぇぇ~~~」・・・「うるせえぞシゲ!」不意に私はシゲの頭を殴りました。(ボコッ)するとシゲが「いでぇっ!」私は続けます「黙ってろ!うるせーぞ。大した傷じゃないんだろうが!」するとシゲは叫びます。

「けつを見てくれよ。何か所も短剣で刺されたんだよ!いてぇ~んだよ。」必死に訴えかけます。私は今一度思いっきり頭を殴ります。(ガツン)するとシゲが「いって~~~(涙目)」どうだ頭が痛いだろう。けつの痛さを忘れたか?

 シゲは「頭がいて~」と言い、タカが「良かったな。けつの痛さを忘れられて。」そう言ってブーとともに離れます。「なあ、ブー」タカが話しかけます。「なんだ?」ブーが返事をします。「最弱のゴブリンですら散々な目にあったな。もう分かってるだろう?作戦がないからだよ。はっきり言って俺ら馬鹿すぎだよな」ブーは大きく頷きます。

「やはりリーダーが必要なんだろう。俺が思うにお前(ブー)が適任だと思うぜ。俺からもびしっと言うから。」そう言うとブーは「しかし俺らがあいつらに言っても言うこと聞くか?」と怪訝そうな顔で言います。タカは「聞かないだろ?」と即答えました。「だよな~」ブーも応えます。

 「そうは言ってもこのまま烏合の衆で突っ込んで行っても、返り討ちに会うだけだぞ。そう言い聞かせて、きちんと作戦を立てる。そしてリーダーの指示に従う。それができなきゃ死ぬだけだと言い聞かせるしかないだろう。」タカがそう言うとブーは頷きました。

 「なんだこの短剣は?」とタカが言います。「あ~それはシゲのけつに刺さってたやつだ。まあ今回の唯一の戦利品だな。」ヤナが言います。「シゲ!ナイスだ!」カズキンが笑いながら言います。タカは心の中で思いました。(こんなガラクタな短剣3本と引き換えに、大けがして、しかもバトルアクスを無くすという・・・本当にシゲは超馬鹿だな。泣けてくる。)

 こうして初めての冒険は、最弱モンスターにまさかの大敗北で幕を閉じたのでした。

 

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