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悲しくも美しい恋の物語(番外編)【第二話】

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①悲しくも美しい恋の物語
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【第一話】

赤城が旅立ってから、 麻衣は毎週必ず air mailを送ります。時には便せん1枚にも満たない内容であっても、必ず airmail を送りました。 そして麻衣は赤城のことを思いやり、返事は帰ってきてからまとめてでいいと必ず記載します。そんな赤城からは、毎月必ず返事の airmail が届きます。1か月まとめてでごめんねと添えて。

多忙を極めているはずの赤城のことを思うと、その air mail が嬉しいのと同時に、申し訳ない気持ちでいっぱいになる麻衣でした。 でも赤城からの air mail が35通届いたら、36通目はきっと赤城から手渡ししてもらえるとそう信じて待ち続けたのです。

ところが、35通目の air mail は赤城からのものではありませんでした。差出人は赤城が研究研修で赴任しているアメリカの大学病院の病院長からで、そのair mail は、令和大学病院の病院長から麻衣に手渡しされることになるのです。

その内容には驚愕すべき内容が記載されていました。実は麻衣は、赤城がどのような研究をしているのかを知らされていませんでした。 赤城が研究していたのは、新型ウイルスのワクチンについてで、トップシークレット扱いの極秘研究だったのです。 当然令和大学病院もワクチン開発の研究とは聞かされていたものの、詳細については明かされていなかったのです。


赤城は、新型ウイルスのワクチン研究の際に、研究チームのメンバーと一緒に、新型ウイルスに感染してしまったのです。 この事実を知った麻衣は、しばらくなにも考えられませんでした。

そんな中、36 通目の air mail が麻衣のもとに届きました。 差出人は赤城からです。

麻衣へ

心配をかけてごめん。 僕は今アフリカで猛威を振るっている新型ウイルスのワクチン開発の研究に全身全霊を込めて戦っています。 もう知っていると思うけど、僕は、 研究チームのみんなと一緒にこの新型ウイルスに感染してしまった。今はまだ動けるけど、この手紙が届くころには体の自由が効かなくなると思う。残された時間は少なすぎるけど、研究チームのみんなと最後の1分1秒までこの研究をやり遂げようと、 プロジェクトリーダーにお願いして隔離室で研究を続けています。残念ながら自分たちの命はワクチンの完成には間に合わないと思うけど、あともう少しで臨床実験できる試作が出来上がる。きっとアフリカで苦しんでいる人々を救うことができる。一人でも多くの人を救いたいんだ。麻衣本当にごめん。
婚約は解消してほしい。麻衣は素敵な女性だ。だからこれからの人生で、僕よりも素晴らしい男性に巡り合えるはずだ。どうか悲しまないでほしい。 僕が願っているのは麻衣の幸せだけだから。

赤城

麻衣は手紙を何度も何度も読み返します。 そして 「婚約は解消してほしい。」 この一文のところにたどり着くたびに、 もう一度最初戻る。その繰り返しをしているうちに、 いつの間にか眠ってしまいました。

翌朝麻衣は、病院長のもとを訪れます。 そして手紙を渡し、これは本当のことなのかを問いただしました。すると困惑しながらも病院長は、 この手紙が事実であること。 そして赤城の命は、もって1~2か月しかないこと。恐らくは既に重篤な状態ではないかと麻衣に伝えました。麻衣はその場に崩れ落ちます。


麻衣は病院長に、最後に一目だけでもいいから赤城に会いたいと懇願します。 しかし病院長からは、危険な伝染病であり、 隔離状態の赤城に会うことは絶対にできないことを告げられます。麻衣はその場で気を失って倒れ込んでしまったのでした。それから赤城の死の知らせを聞くのは、そんな遠くない未来のことです。

第三話につづく

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