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ポンコツヤローの異世界放浪 LV10

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②ポンコツヤローの異世界放浪
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LV10:ポンコツヤローの大ピンチⅡ

 タカは、この絶望的な状況を打破するため、自らがおとりになってオークの群れに突入する覚悟を決めていました。「みんなそのまま防御しながら聞いてくれ!」タカはさらに叫びます。「とにかく全員防御に徹しててくれ。俺がおとりで出る。オークの集団を少しでも他に向けないとこのままでは全滅してしまう。」

「作戦を簡単に伝える!ブー!ミツの手当てを急いでくれ!ヤナ!合図をしたらポイズンスワンプを一発前面にぶちかましてくれ!俺は逆方向に走り、オークどもを蹴散らす。もしオークどもの包囲が左右どちらかで崩れるようなら、全員で逃げてくれ。みんなとにかく生き残ろう!ヤナ頼む!」

その言葉を聞いてすぐにヤナが魔法を放ちます。「ポイズンスワンプ!」するとオークが密集していたこともあり、5匹以上のオークが毒の沼にハマっていきます。オークたちが一瞬怯んだすきにタカが飛び出しました。「今だ!」タカは目の前のオークを次から次へと切り倒しました!

そして掛け声とともに魔法を放ちます。「ここだ!ライトニングボルト!」タカの放ったライトニングボルトの閃光は、ミツをかばっているブー、ヤナ、アンザワのすぐ目の前を一直線に通り過ぎ、猛攻を加えていたオークたちを貫き、吹っ飛ばしました。撤退のチャンス到来です。

(どうだ?あいつらは逃げられるか?)タカは前面のオークと戦いながら、放ったライトニングボルトの後を見ます。すると・・・・残念ながらオークの数が多すぎて、前衛を仕留めただけにすぎず、次から次へと押し寄せてくることに変わりはありませんでした。(くっ、ダメなのか。)

タカは思いましたが、今は前面の敵を少しでも押し返し、蹴散らすことがみんなを救う道と信じて突き進みました。(何か手はないのか?)そう考えたタカは、あることを思いつきました。(そうだ足だ!足を狙ってやつらの動きを止められないか?)そう考えたタカは、最後の魔法を放ちます。

(大袈裟に立ち回り、魔法を撃つそぶりを少しでも見せてはだめだ。一瞬で魔法を放ち、オークたちの隙を作るんだ。)そう思いつつタカは「いっけ~ライトニングボルト!」と叫び再び閃光が走ります。オークたちは強い閃光に怯みました。その瞬間タカは猛烈な勢いで、オークたちの足めがけて切りつけました。

 タカの思惑は成功しました。足を切り付けられたオーク達は、転げまわり痛がっています。その数がどんどん増え、既に10匹以上のオークが転げまわり、叫んでいます。ここでポンコツヤロー達を救う想定外のことが起こりました。なんと他のオークたちが怯えながら下がっていったのです。

 (これはいったいどういう事なんだ?)タカは考えました。すると(もしかしてこの苦しんでいるオークたちを見て、何か特別な魔法かと怯えているのではないか?)そう思ったタカはヤナと、傷を負っているミツに叫びます。「ありったけの魔法をぶち込んでバックレだ~」

 すぐに反応したヤナは「ポイズンスワンプ!」毒の沼を放ちます。そして別の方角に「ファイアーボール!」ミツが魔法を放ちました。オークたちは大混乱です。多くの仲間のオークが苦しんでノタウチ回っており、毒の沼や火の玉が降ってきたのですが、我先に逃げ始めました。

この姿を見てタカはみんなにもう一度叫びました。「今だバックレだー!」そして大けがを負っているミツに肩を貸し、オークたちと逆の方角へ逃げ始めました。ひとまず命拾いをしたポンコツヤロー達でした。

「みんな大丈夫か?」タカが声をかけます。すると「・・・・・」返事がありません。みんな疲労困憊で言葉を出す気力すらありませんでした。「みんなきついのは分かる。逃げよう。先輩達と合流しないと死ぬぞ。」さらに続けます。「死にたくなかったら、歩こう・・・」

なんとかみんな立ち上がり、冒険者たちがいる方向へ歩き出そうとしました。しかし他のオークの群れがまたもや表れ始めたのです。(もうだめかもしれない。)タカは、仲間たちが先ほどの戦闘ですべての魔法と体力を使い切っていることを知っていたので、もはやこれまでと覚悟を決めました。

「おいどうする!どんどんオークが迫ってくるぞ!」そう叫んだのはシゲでした。「もう立ち上がれないよ・・・」そう弱い声でミツが言います。「俺はもう魔法が打てない・・」そうヤナが言うと、「俺も」「俺も」「俺も」とミツ、ブー、タクボクが言いました。「ダメだもうどうにもならない」

そうブーが行ったときにカズキンが「俺はまだ魔法が後2回撃てる。」そう力強く言いましたそしてタカも言います「俺も2回撃てる。まだあきらめるのは早い!」そうみんなに言い聞かせました。すると全員「お~まだいけるんだ!もうひと頑張りしよう!」そんな声が口々に出てきました。

(すまない。本当は俺も魔力が尽きているんだ・・・しかし・・・)タカは嘘をついていました。こうでも言わないと、全員が希望を持てないことを知っていたからです。「よしいずれにしても先輩たちと少しでも早く合流するようとにかく歩こう」タカは続けます。

「ヤナとブーはミツに肩を貸してやって先に移動してくれ。比較的体力が残っているシゲと俺はしんがりだ。タクボクはヤナ、ブー、ミツを守ることに専念してくれ。カズキンお前の魔法が頼りだ。無理のない範囲で攻撃に参加してくれ。いいな!」みんな大きく頷きました。命がけの撤退戦のはじまりです。

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