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ポンコツヤローの異世界放浪 LV14

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②ポンコツヤローの異世界放浪
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LV14:絶望の先に見えるもの!

 りるはタカに対し、「ちょっとこっちに来てください。」そう耳元で囁くと手招きして別室に誘導します。タカは「みんな先に飲んでてくれ。後で行く。」そう言うとりるについていきました。「りるさんどうしたの?」そう言うとりるが小声で話し始めました。

 「タカさん、これはタカさんだけに教えます。みなさんには内緒ですよ。実は今回リュウさんが監視役として随行しますよね?」そう言うと「そうですね・・・」とタカが答えました。「実はリュウさんは監視役ではなく護衛なんですよ。」と言うと「えええーモガモガ~~」りるが慌ててタカの口を塞ぎます。

 「ダメですよ。ギルドマスターから固く口留めされているんです。リュウさんは表向き監視役という名目ですが、実はみなさんに洞窟の攻略の方法を教えたり、いざとなったらみなさんを助けるために随行するんです。ただそのことをみなさんが知ると、頼り切ってしまうから言うなって。」

 りるは続けます。「本当はペナルティーの場合、監視役なんてつけないんですよ。万が一逃げ出したら、ギルドが地の果てまで追い詰めてそれこそ抹殺されてしまうんです。ですから逃げる冒険者はいないんです。」その話を聞いてタカは顔が青ざめる思いでした。さらにりるは続けます。

 「ギルドマスターは、けじめのためにペナルティーを与えることを宣言せざるを得なかったのです。これはルールだから。そして同時に、今回の対象者であるみなさんがあまりにも駆け出し冒険者であったため、逃げ出すなど思わないように監視役を付けてしっかりやらせると周りには説明しているんですよ。」

 りるの説明を聞いてタカは「そうだったんですか!」と嬉しそうに大き目な声を上げたところで「しっ!」とまたもりるに注意されてしまいました。「いやそれなら安心して依頼を受けれるじゃないですか?リュウさんは最強の剣士ですから!」とタカが小声ではあるものの、踊る声で言います。「だから皆さんには言えないんですよ。緊張感を持たせるために!」とりるが答えました。

 「なるほど。良く分かりました。で、なんで私にだけ教えてくれたんですか?」と逆にタカがりるに聞きます。するとりるが「タカさんが一番信頼出来て、しかも冷静に判断できると思ったからですよ。」と言うと、タカが「そんな。買いかぶりすぎですよ。リーダーはブーだし、カズキンやヤナの方が・・」

 そう言うと、りるが遮るように話し始めます。「実はギルドマスターも同じ考えなのですが、今までの報告を聞く限り、タカさんは、ここ一番の時の判断力や、周りとの調和力は抜群のようです。だからタカさんだけこの事実を知っていてもらい、周りのメンバーにはぎりぎりの緊張感を与えてほしいんです。」

 タカはりるの言うことをイマイチ鵜呑みにできませんでした。「ギルドマスターからの指示ですか?」と聞くと、りるは「いえ。私の判断ですよ。タカさんならきちんと趣旨を理解してくれると信じてますから。」とそう笑顔で答えました。その表情からすべてを読み取ったタカは一言「分かりました。微力を尽くします。」

 タカは、そう笑顔で応じて仲間たちの元に向かいました。(随時分と信じてもらっているようだな俺は・・・と言うことはギルマスはあえて俺達に試練を与えて強く育てようと考えているんだなきっと!)タカは心の中でそう思い、なんだか嬉しくなってきました。「よ~しやるぞ!!!!」思わず叫んでしまったタカでした。

 「おーお疲れ。まあ飲めや。」と酒を進めてきたのはシゲでした。「おーサンキュー!」タカは嬉しそうにジョッキを受け取り、みんなに追いつこうと一気に飲み干しました。「なあタカ聞いたんだけどさペナルティーの件・・」そうヤナが話しかけてきました。「ん?どうした?」そう応じるとヤナが続けて話し始めます。

 「ペナルティーでやらされる案件ってさ、ヤバい奴なんだって。」そう言うと「まあそうだろうな。」とタカはあまり驚く様子もなく返事をしました。ヤナは続けます。「3件用意されているみたいだけど、過去冒険者が依頼を受けて失敗したものや、1年以上依頼が達成されていないものが対象なんだって。」

 それを聞いたタカは「という事は失敗率が高い依頼ばかりという事か??」と言うとカズキンが「そうなんだよ!もう絶望的だよな!!やってられねーよ!」と割って入ってきました。「多分ふつ~に死ぬんだよ俺ら・・・」そうアンザワが言うとミツも隣で頷きました。

 「あ~~バックレて~~マジでバックレて~~」アンザワはもうかなり酔っています。みんなも同じ気分で絶望感が漂っています。(俺はいったいどんな態度を取ればいいんだか・・・)そんなことを思っている矢先にリュウがやってきました。「お前ら!逃げるなんて死んでも思うなよ~。逃げたら殺すからね!!」

 とても優しい笑顔で笑いながら、とてつもなく恐ろしいことを言われたポンコツヤロー達は一気に血の気が引いています。そんな姿を見たタカが「もちろんです!全力で依頼をやり遂げて見せます!リュウさん見ててください!な!おまえら!」と思いっきり元気な声で応えます。

 するとリュウは「おー元気いいな!結構結構。若者はこうじゃなきゃな!よ~し。今日は俺の奢りだから好きなだけ飲んで食えや!大丈夫大丈夫。失敗しなければ死なないからさ!がんばれや!」と言うとりるを呼び払いを自分に付けておくことを伝えると去っていきました。

 「やった~腹一杯食うぞ!!りるちゃん!肉!肉!これを5人前!!」猛烈に元気になったシゲがどんどん注文します。一方で他のメンバーは元気がありません。そんな中ミツがぼそっと呟きました。「これって最後の晩餐なのかな・・・」シゲとタカを除いて果てしなく沈んでいくポンコツヤロー達でした。

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