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ポンコツヤローの異世界放浪 LV13

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②ポンコツヤローの異世界放浪
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LV13:償いそして行動!

 「よーし。分かったらもう行って良し。2、3日休んだら、りるから依頼を受けて働け。迷惑をかけた分、助けてもらった分は、気合入れて働けよ。分かったな!」そうギルドマスターに言われると「分かりました!失礼します!」と返事をし、次々に部屋を出ていきます。それをギルドマスターは黙って見送ります。

 (いい薬になっただろう。お前らは何も得るものがなかったと思ったようだがな、お前らはあの激闘から生き残ったんだ。とんでもない経験という金に換えられえないものを手に入れたんだぜ。良かったな・・・・)ギルドマスターは窓からポンコツヤロー達を見つめながらそう呟きました。

 3日休養した後ようやく傷も回復し、ギルドにやってきたポンコツヤロー達でした。ある程度は覚悟していたものの、想像以上の大変な試練が待ち受けているとは、まったく想像していませんでした。先輩冒険者たちがポンコツヤロー達を見つけると、激しい罵声を浴びせ始めました。

 「バカヤローお前らの勝手な行動で、どれだけみんなが危険な目にあったのか分かっているのか!」、「俺のパーティのジョンなんかな、お前らを追うために予定より早く侵攻するはめになり、逆にオークの待ち伏せ食らって負傷者が続出したんだぞ!」、「ギルドマスターからの命令だから救出に行ったが、とんだとばっちりだ!」

 自分たちがやらかしたことが、どれだけ迷惑をかけてしまったか、改めて思い知ったのでした。そんな時に助け舟を出したのがギルド店員のりるでした。「みなさん!お怒りはごもっともです。しかし、先日ギルドマスターから厳しく叱責を受け、ペナルティーも受けます。本日はそのペナルティーを受けるための出頭です。」

 そうりるが強く言うと一同だんまりしてしまいました。そして一人の冒険者が「ペナルティーってまさか・・・?」と言うと、他の冒険者達も一斉にざわつきました。そして一人の冒険者が「まあギルマスがこいつらにきっちり落とし前付けさせるなら何も言わねーよ。」そう言うとその場から去っていきました。

 この反応を見てカズキンが「一応救われたように見えるけど、もしかしてこの後とんでもないこと起きるんじゃないのか?」そう言ってりるを見ると、困ったようにりるが「上でギルドマスターがお待ちです。ご案内しますね。」とみんなに微笑みかけました。しかしポンコツヤローの誰もが、無理に笑っているような気がしたのです。シゲを除いて。

 とてつもなく嫌な予感がするポンコツヤロー達ですが、恐る恐るギルドマスターの部屋に入りました。「失礼します。入ります。」次々に部屋に入るとギルドマスターが待っていました。「おー来たか。どうだ傷の具合は?いい薬を使ったからもう全快だろう??」そう言うと、思わず顔が引きつってしまうポンコツヤロー達でした。

 「さて、早速要件を離そう。お前達にはペナルティーとして3件ギルドからの依頼を受けてもらう。1件目はこれだ。」そう言うと、依頼書を差し出します。ヤナが真っ先に受け取り中身を見て叫びます。「モンスターが住み着いた炭鉱を開放するんですか?そんなの俺たちには無理ですよ!」

 絶叫にも近い大声で叫びます。そして他のメンバーがヤナから依頼書をむしり取り、次々に依頼書を読みます。「これは無理です。今度こそ俺達全滅して洞窟で死に絶えますよ。」ほとんど涙ながらに訴えるブーでした。

 「まあ普通なら死ぬだろうな。でもそんな危険な冒険をやりたいんだろう?」そうギルドマスターが言うと、「いやいやいやいやいや、全く違います。そんなことありません!」と口々に否定します。「あ~まあ、ペナルティーだから仕方ないな。やれや。」淡々とギルドマスターが言います。

 なおもカズキンが食い下がります。「前回の遠征は本当に申し訳ありませんでした。そこで拾った命、助けていただいた恩は感謝しています。しかしこれでは、死んで来いと言わん賀ばかりじゃないですか!」そう叫ぶと、ギルドマスターから恐るべき言葉が発せられます。「その通りだよ。」

 ポンコツヤロー達は、もう何が何だか分かりません。何を言っていいのかも分かりません。そこでギルドマスターが説明します。「ギルドの決まりがあってな。重大な約束違反や裏切り行為があった場合は、ギルドへの依頼のうち、誰もやらない又はやりたがらない依頼をやり切らなければならない掟があるんだ。」

 「お前たちは重大な約束違反を行い、ギルドの他の冒険者の命を危険にさらした。掟のとおりやってもらわなければならない。分かったな。」そう言われては誰も何も言い返すことが出来ませんでした。そしてギルドマスターは付け加えます。「あ、お前たちに副ギルドマスターのリュウがついていくからな。」

 そうギルドマスターが言います。なんとあの副ギルドマスターのリュウが同行するというのです。このリュウは、この街最強の剣士で、一人で巨人を仕留められるほどの実力者です。この街で右に出るものがいない冒険者と言っても過言ではありません。これを聞いたポンコツヤロー達は狂喜乱舞します。

 「ギルドマスターありがとうございます!あのリュウさんが一緒のパーティなら、この依頼なんか余裕ですよね!安心しました!」そうタカが言うと信じられない言葉が返ってきました。「お前らなんか勘違いしていないか?リュウは、お前らが逃げ出さないか見張るために行くだけだ。やるのはお前らだ!」

 「ええええええええええええええええええええええええええええええ」全員絶叫状態です。「いやいやいやいやだから普通に死んでしまいます。何とかしてください!」もう泣きながら懇願するブーですが、全くもって聞く耳を持ちません。「あとはりるに聞いて早くやってこいや。じゃリュウちゃんと見張ってくれよ。」

 そう言うとギルドマスターは全員に退出するよう命じました。もう絶望的な状況のポンコツヤロー達でした。「みんなとにかくりるちゃんのところに行って、どうすればいいか相談しよう。とにかくやるしかないことに変わりはないようだ。」そうブーが言うと、しぶしぶ歩き始めるポンコツヤロー達でした。

 下ではギルド店員のりるが心配そうに待っていました。そして「気を落とさないでください。今度も生きて帰ってこれますから。」そう言って励ましたつもりが、ポンコツヤロー達には益々二度と帰ってこれないような気がして仕方ありませんでした。「ねえりるちゃん。もしかして次の依頼ヤバいんでしょ?」

 半泣き状態のヤナがりるに聞きました。すると「えっと・・・言いにくいのですが、既に2回冒険者が挑戦して帰って来なくて・・・もう1年以上依頼の受け手がないんです・・・」そう言うと、全員固まったまま動きません。(マージ終わった~)もうボーゼンと立ち尽くしています。

 「でもでも大丈夫ですよ!洞窟の見取り図とかありますし、時間をかけて少しずつ頑張ればきっとモンスターを駆除して成功しますって!そして今回はギルドも1年も依頼を達成できていないため、必要な情報、道具類は全面的にバックアップするんですから!」そう言って励ますものの、立ち上がれないポンコツヤロー達でした。

 ギルド店員のりるから一通りの説明を受け、洞窟の情報や見取り図、どのような敵が想定されるのか、必要な道具類などをもらい、明日出発することになりました。もうとにかくやるしかありません。ポンコツヤロー達がギルドの酒場へ移動し始めました。

そのとき、ふとタカだけりるから小声で呼び止められました。「タカさんタカさんちょっと・・・・」タカはりるのほうを振り向き、こそこそしているりるの態度を不思議に思いながら近づいていきました。「どうしました?りるさん??」と言うと「しっ!」と小声でりるが言います。なんだかとても嫌な予感がするタカでした。

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