LV18:仲間の想いを背負って①
そして、ヤナも見てのとおり負傷しており、カズキンが切られ今に至ることを報告しました。するとタカは「毒の沼を真ん中の通路に撃つことが出来ていれば、戦況は全く変わっていたはずだな。なんてこった。」非常に残念そうに、コブシを壁にぶつけます。「一応カズキンへの応急処置はこれで済んだしかし・・・」タクボクはそう言うもののそれ以上言葉がでませんでした。
なおもタクボクは続けます。「カズキンとヤナはもう戦えない。一旦炭鉱の外へ出る方がいい。」そう言うとタカも頷き、「3人には負担をかけてしまったな。申し訳ない。後は俺たちに任せてくれ。お前達の為にも必ずこの依頼はクリアして見せる。」そう改めて決意するタカでした。
深いダメージを折ってしまったカズキンですが、タクボクが2回ヒールをかけた関係で、かなりダメージを回復させました。しかし戦闘が出来る状態ではなく、さらに治療が必要であることには変わりありません。そこでタカは、「ヤナは自力で歩けるよな?ミツ、カズキンと一緒に外へ出てくれないか?」そう言います。
するとミツは、「僕はまだ魔法が1回残っている。戦わせてくれ!」いつも物静かなミツが積極的に言います。当然強い闘志に溢れていることは誰が見ても分かります。そのミツの強い決意を見て、それ以上言うことができないタカとタクボクでした。「分かった。それではシゲ達が戻ってくるのをまずは待とう。」
そうタクボクが言うと、タカも同意しました。そしてタカが「ミツからの報告を聞く限り、真ん中の通路のゴブリンはほとんど全滅したような気がする。もちろん油断は禁物だが・・」と言います。続けてタクボクが「俺が思うに、ゴブリンはほとんど退治できたと思っているよ。むしろアンデットはまだ残っていると思うな。」そう付け加えます。
するとミツが興奮気味に自分の意見を言います。「僕の考えでは、真ん中の通路のゴブリンは既に退治済みだと思う。一旦下まで探索して見て終了だと思う。だけど右の通路は恐らくゾンビがまだまだ出てくると思う。基本的に近付かないとゾンビは襲ってこないからさ。」
タカは大きく頷き、「実際に戦っていたミツの意見が一番真実に近いんだろう。そうしたら合流した後、一旦真ん中の通路の掃討戦のため、シゲ達に行ってもらおう。俺とそうだなブーがここに残って、カズキンとヤナを守るため、右側からの攻撃に備えるか?どうだタクボク?」そう意見を求めるとタクボクとミツが同意しました。さらにタカは付け加えます。「やばくなったら引き返してこい。死ぬことはゆるさん!」
しばらくすると、シゲ達が戻ってきました。「お疲れ~~~~~」相変わらず能天気なシゲですが、すぐにアンザワが異変に気付きました。「おいどうしたんだ??何があった?」カズキン達の惨状を見て、アンザワ、ブー、シゲと次々に顔色が変わり、駆け寄りました。
「カズキンがかなりの深手を負ってしまったが、ヒールを2回かけているのでとりあえず大丈夫だ。しかしとても戦えるような状態ではない。」そうタクボクが言いました。するとブーが「俺が治療をする。ヒールをかけよう」そう言うとカズキンが「ダメだ・・」と声を出しました。
「まだ真ん中と右の通路の探索が終わっていない。ここでヒールをすべて使いきる訳にはいかない。」カズキンは治療を断りました。そして「とりあえずタクボクのおかげで俺は当面死ぬことはない。大丈夫だ。だから残りの探索を終わらせてくれ。この依頼をなんとしても成功させてほしい。」
そうカズキンが言うと、また目を閉じて黙ってしまいました。ブーは「分かった・・・」とだけ言い、やはり黙り込みました。「みんな!」タカが口を開きました。「疲れているところ悪いがこの依頼は必ずやり遂げよう。負傷したカズキンやヤナの為にもだ。」そしてタカは続けます。
「ミツからの報告で、恐らく真ん中の通路の敵はほとんど倒されたはずだ。悪いがアンザワ、ブー、タクボクは急ぎ真ん中の通路の探索を終わらせてくれ。シゲとミツは俺と共にここに残り、カズキンとヤナを守りながら右の通路からの敵を迎え撃つ。いいな?」そう言うと一同「おう!」と力強く返事をしました。
「よしアンザワを先行として急いでいこう!」ブーがそう言って3人は真ん中の通路を進んでいきました。「すげ~な」先を進むアンザワが焼き尽くされたゴブリン達の死体を見て思わず言葉が出ました。「あっちこっちに死体が山積みだな。これはもう全滅させてるのではないか?」
アンザワがそう言うと「多分そうだろうな。それだけカズキン達の戦闘は激しかったということだ。とにかく急いで探索し、早く戻ろう。」そう言うと3人とも走り出しました。まもなく最下層までたどり着きました。アンザワが「ここにもいろいろとあるな。とりあえず持ち帰るとして少し時間がかかるな。」
「見た限りトラップがあるとも思えないし、ゴブリンどもは1匹残らず駆除されてたな。運び出す量も俺一人で大丈夫そうだ。ブー、タクボク急ぎ戻ってくれ。ここはシーフである俺が対応しておく。もしも右側の通路からゾンビが這い出してきていたら・・・行ってくれ!」そうアンザワが言いました。
「了解だ。任せたぜ。」そうブーがが言うと、タクボクと共に急ぎ戻りまじめました。「さ~て仕事始めるか!」アンザワは戦利品の回収作業に取り掛かりました。「意外といい金になるかもしれないぞ!!」アンザワはそう呟きながらきっとみんなの苦労は報われると心の中で思いました。
そのころタクボクとブーは急いで戻ります。「まさかまた戦闘になっていることはないよな?」そうブーが言うと「いや、そもそもここは冒険者が2度全滅している。カズキンも危うく死ぬところだった。とにかく急ごう。」そうタクボクが答え、2人とも更に急ぎます。まもなく分岐点まで到着です。自分たちの走る音しか聞こえません。
「どうやら戦闘はないようだな。」そうタクボクが言うと二人とも息を整えながら歩き始めました。やがてタカ達が見えてきて合流します。「お~い!」ブーの声を聞いたシゲも「お~い!」と応じます。無事に合流を果たした瞬間、右側の通路からゾンビが這い出してきました。「みんな戦闘準備だ!」タカが叫びます!
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