ポンコツヤローの異世界放浪 LV6

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②ポンコツヤローの異世界放浪

LV6:ポンコツパーティのリベンジ

 最弱モンスターゴブリンに散々な目に合わされたポンコツヤロー達は、あれから1か月の間、ギルドの紹介で師匠に弟子入りし、みっちりと修行を積みました。それぞれに成長し、再びギルドに集まりました。

 「オウ!みんな久しぶりだな!」一人、また一人とギルドの中に入ってきます。みんな少し自信がついたようで、顔つきも凛々しくなっています。全員揃ったところで、ブーが切り出します。「みんなお疲れ。修行の成果は顔を見れば分かるよ。自信がついたようだな。」

 するとシゲが「お~きつかったぜ!とにかく腹が減った。まずは飯を食おうぜ!」と相変わらず緊迫感がありません。しかしみんな口々に「そうだな、飯を食おう!」と珍しくシゲに同調し、どんちゃん騒ぎが始まりました。それだけ仲間たちとの再会を喜んでいる証拠だったのです。

 食事が始まって間もなく、カズキンが切り出します。「みんなどうよ?強くなったか?」するとヤナが「もちろん!魔法は百発百中!さらに新しい魔法も覚えたぜ!」と言うと、ブーが「ホントかよ~またカズキンに直撃させるんじゃないか?」と言うと「いや、それ俺じゃないって、な~ミツ?」とヤナが返します。

 ミツは「いや~ごめんごめん!カズキン俺も百発百中だから今度は大丈夫!誤爆しないよ!でもヤナは地面ごと揺らすから、百発百中でみんな転ばすのでは?」と返します。ヤナは「う~んやられた!」と素直に負けを認め、全員大爆笑の渦です。

 そんな中タクボクが言います。「みんなが強くなったのは何となくだが分かる。自信がついたことはいいことだが、だからと言ってむやみに突っ込んで行っても、以前のように足元をすくわれるぞ。」と少ししかめっ面をしながら苦言を呈します。

 ブーもタクボクに続きます。「その通りだね。第一段階としてみんな修行により強くなったと思う。あとでその成果はみんなで確認しよう。そして第二段階は作戦だ。きちんと目標を持って、最適な役割分担をして、ミスがあってもお互いカバーできるように考えていこう。」

 わいわい騒いでいたメンバーがいつの間にか真剣な顔つきになっています。「そうだな。今度は失敗しない。」力強くカズキンが言います。「リベンジだ。」ミツがつぶやきました。するとみんなが口々に「リベンジだ!」「リベンジだ!」「リベンジ!」と声を上げます。ポンコツヤロー達の気合が最高潮に達しました。

 翌日、早速ギルドに行き、店員のりるにカズキンが話しかけます。「りるちゃんこんにちは!あの~早速だけど、依頼を受けたいんだけどさ、前回熊のせいでできなかった、ゴブリン討伐まだある?」ポンコツヤローたちは一斉にりるを睨みます。

 りるは少し怯えながら「あの~今日のみなさん、いつもより怖いんですけど・・・・」と言うと、ポンコツヤローたちは、一斉に自分たちを見て、大笑いをしてしまいます。「いやーりるちゃん!ごめんごめん。ちょっと気合が入りすぎてしまったね!」そうタカがフォローを入れそのまま続けます。「あの依頼まだあるかな?」

 りるは、少し落ち着いて応じました。「少々お待ちください。今調べますね。」しばらくすると「みなさん!まだ依頼は残っていましたよ。ゴブリン討伐やりますか?」と言い終わる前に全員で「やる!」と大合唱にのように響き渡りました。

 早速ゴブリン討伐に向けて目的に地向かうポンコツヤロー達。ヤナがみんなに言い聞かせます。「今度はゴブリンども皆殺しだ!絶対に勝つぞ。」そしてブーが歩きながら作戦を再度確認しています。「まず、カズキンとアンザワは偵察に行ってもらう。ゴブリンの数、配置、そして敵の装備の確認だ。」

 「そして、念のため、ホブゴブリンや他の上級モンスターが混じっていないかも確認だ。ホブが数匹程度なら作戦は実行。上級モンスターがいたら、一旦撤退しよう。敵の配置が分かったら、見張りを確実に仕留めて、一気に殲滅できる数まで打ち取ったら、一気に魔法攻撃で止めを刺そう。いいな?」みんな大きな声で返事をします。

 タクボクが「みんな今度は落ち着いてな。冷静に頼むぜ。」そう言うとヤナが「特にシゲ。お前だ。」するとシゲは「なんでだよ~」といつも通り叫んでみんなからの大爆笑をいただくのでした。

 いよいよ目的地に到着しました。ブーがアンザワとカズキンに言います。「頼むぜ。見つかったら全力で逃げてくれ。その時は手はず通り返り討ちにするから。」そう言うと「今度はトチらねーよ。」そうアンザワが言うと、カズキンと共にさっそうと偵察に出ました。

 約30分経過したところで、二人が戻ってきました。アンザワが情報をみんなに伝えます。「簡単な柵で囲っている村のようになっている。門のような入口が2か所あり、そこから出入りできるようになっている。入口に見張りのゴブリンが2匹ずつ立っている。武器は槍だ。」さらに続けます。

 「その奥には掘っ立て小屋のようなものが5棟ほどある。ドアのようなものはない。遠目で見て1棟につき、だいたい5匹から多くても10匹くらいが住んでいるようだ。前回集団で追いかけられたときがだいたい30匹くらいだったはず。数的にもあってそうな気がする。」今回のアンザワからの情報はかなり正確のようです。

 ブーがみんなに伝えます。「よし、それならばだいたい想定通りだな。役割分担は次のとおりだ。シゲ、カズキン、俺(ブー)の3人が左の入口のゴブリンを叩く。タクボク、タカ、アンザワの3人は、右の入口のゴブリンを叩く。」さらにブーが続けます。

「入口のゴブリンを叩いたら、ヤナとミツが魔法で掘っ立て小屋の中に向けて魔法を放ってくれ。ヤナが一番左から、ミツが一番右からだ。ここで少しでも数を減らしたい。できれば、小屋の中で焼き殺してくれ!」そう言うとミツが応じます。

「ファイアーボール2回打てるよ、左の2棟は任せて!」そう言うとヤナも応じます。「俺は新しく覚えたポイズンスワンプ(毒の沼)をぶち込んでやる。毒の沼から一歩も出ることなく仕留めて見せる。一番右の1棟は確実に潰してやるぜ!」威勢よく言います。

 ブーが続けます。「よし。残りは2棟だな。恐らく10匹ちょいだろう。こいつらは慌てて村の入口から外に出ようと殺到するはずだ。それぞれ入口に3人ずついるから、入口から出てきたゴブリンを1匹ずつ確実に倒そう。みんないいな!」「オウ!」威勢のいい掛け声が返ってきます。

そして最後にアンザワ言います。「ブー。みんな。万が一これはヤバいと思ったら、誰でもいい。必ずバックレと声を出してくれ。そうしたら必ずみんなで逃げよう。絶対に生き残ること。これが最重要だからな。」みんな大きく頷きました。

「よしいくぞ!(コソ)」カズキンがみんなに小声で掛け声を出しました。作戦スタートです。・・・・・・・・・・・・・・・・・・(グサ)、(バキ)、(グサ)、(グサ)・・・・・・・・・・ブーがヤナとミツに手を広げて○印を送りました。少し遅れてタカも手を広げて○印を送りました。

奇襲が成功し、見張りのゴブリンを倒した合図でした。しかしこの時、シゲとカズキン、タクボクとアンザワにとんでもない異変が起きていることに、まだ誰も気づいていなかったのでした。

合図を確認したミツとヤナは、手はず通りに魔法を唱えて放ちます。「ファイアーボール!」、「ポイズンスワンプ!」少し間をおいてミツがもう一度ファイアーボールを唱えました。すると5棟のうち、2棟は燃え上がり、火だるまのゴブリンが這い出てきました。また一番右の小屋からは、明らかに毒の沼があふれ出しています。

騒ぎに驚いたゴブリンが慌てて外に出てきました。手はず通りです。出てきたのは予想通り10匹ちょい。後は1匹ずつ倒せば今回の任務は成功です。ブーはまさに勝利を確信しましたその時シゲとカズキンの様子がおかしいことに気が付きました。「おい、シゲ、カズキンどうした?作戦は成功だ!ゴブリンたちがきているぞ?」

「血が・・・」なんとカズキンは、ゴブリンを殺した時の返り血を浴び、真っ赤に染まった手を見て我を失っていました。シゲも同じ状況です。彼らは人はもちろんのこと動物ですら殺したことがありません。例えモンスターと言えど、人型の生き物を初めて殺したのです。精神的にショックが出るのは当たり前でした。

 そして同じことがアンザワとタクボクにも起きていたのです。いち早く動いたのはタカでした。「ヤナ、ミツ、お前たちはブーの援護に回れ。3人でなんとかその入り口で、ゴブリンを一匹ずつ始末してくれ。こちらは俺一人でなんとかする。こいつら受けたショックが強すぎて、こいつら連れて逃げれないぞ!」

 タカの怒鳴り声を聞き、ヤナ、ミツもブーに合流し、ゴブリンたちと壮絶な殴り合いをしています。幸いにもブーはクレリックであるためメイスを装備しており、刃物でなかったことが今回良かったのかもしれません。ヤナ、ミツは魔法使い用のスタッフでゴブリンと渡り合い、いわゆる「殴り倒す」戦いになりました。

つまりほとんど返り血を受けることがないため、いわゆる「ケンカ」の延長上で戦うことができました。もともとゴブリンは小学生くらいの体格ですから、高校2年生のポンコツヤロー達の敵ではありません。一方でタカにとっては悲惨な戦いになってしまったのは言うまでもありません。

ゴブリンたちもバカではありません。二つの出入口の内、タカがいる方は一人で戦っていることが分かると、そちらの方に自然と集まりました。タカは一人で8匹のゴブリンと戦う羽目になりました。タカは自分に言い聞かせます。「俺はゴブリンを皆殺しにする。仲間を守るためだ。仲間のために俺はゴブリンを殺すんだ。殺すんだ。」

タカは仲間を守るために“生き物を殺す”決意を必死に固めようとします。ここにきて自分たちがもう一つ甘かったことに深く反省せざるを得ませんでした。モンスターであろうと、“生き物を殺す“この覚悟をきちんと持っていなかったのです。

完全にゲーム感覚で修業をし、武器の使い方や魔法の使い方を覚え、モンスターのやっつけ方を考え、これで万全と思っていたのが大きな間違いでした。生き物を殺すということがどういうことかを理解していなかったのです。

タカは考えることを止めました。そして心の中で叫びます。(生きる。生きるために殺す。)意を決したタカは、剣でゴブリン1匹を切り捨てます。絶命するゴブリンを見ずに次から次へと切りかかります。(生きるために殺す。生きるために殺す。)

しばらくするとミツの叫び声が聞こえてきました。「タカ!タカ!もう終わったよ。タカ!」はっと我に返ったタカは、自分の周りが血の海になっていることに気付きました。そしてゴブリンの死体・・・・「うっ」タカは耐えきれずに嘔吐してしまいます。(こいつらはみんな俺が殺したんだ・・・・)

タカの心は、血の海の気持ち悪さと、生き物をこんなに殺してしまった罪悪感とですり潰されてしまいました。ブーとヤナも必死に声を掛けます。「タカ!タカ!大丈夫か!お前のおかげでみんな無事だぞ。タカ!」しかしタカの耳には届きませんでした。しかしポンコツヤロー達は見事にリベンジを果たした瞬間でした。

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