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悲しくも美しい恋の物語(番外編)【第四話】

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①悲しくも美しい恋の物語
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いよいよ赤城の先輩である橋本のクリニックで働き始めた麻衣。 約半年のブランクも全く間題なく、いきいきと働いています。橋本は赤城の気持ちがきちんと伝わったんだなと嬉しそうに見守っています。 つくづく看護師という仕事が好きなんだなと感心していました。

橋本のクリニックに勤務してから1年が経つ頃、世間ではインフルエンザが非常に流行っておりました。クリニックにもインフルエンザの患者が毎日のように受診に訪れます。麻衣はインフルエンザで苦しんでいる患者を診るのがとても嫌でした。というのも、感染症の病気を見ると、どうしても悲しい思い出が蘇ってくるからです。

そんな時に、一人の患者がインフルエンザの受診に来ました。 麻衣はいつも通り患者に点滴の注射をしますが、ふと思いました。あれ?この患者さん先月来たような気がと思った時に、患者が少し痛そうな顔をしました。とっさに「ごめんなさい痛かった?」と声をかけました。

もう一度見てみるとやはりそうです。先月も受診していた患者でした。その患者は、「いえ大丈夫です。注射は何度も打っていますけど、やはり慣れませんね。こればかりは。」と笑顔で返してきました。この時麻衣は、この患者こそ、自分の止まった時を動かしてくれる人であることにはまだ気付いていなかったのでした。

(一月ほど経ち)冬の時期はどうしても風邪やインフルエンザなどの患者が多くなり、忙しい毎日を送っている麻衣でした。そんな時にまた見覚えのある患者が受診しました。 麻衣は、あれ?先月来た患者さん??と思い、今度は何で受診しに来たのかなと思いました。

しばらくすると、前回のようにその患者に点滴の注射をすることになりました。麻衣は心の中で、(またインフルエンザ?)と思っていた矢先に、今度はその患者の方から話を切り出してきました。「まさか3か月連続でインフルエンザにかかってしまうなんて、どれだけ体が弱いのか。 情けないです。院長先生も私を診ているとき、こんな風に首を傾げていましたよ。」

麻衣は思わず笑ってしまって、なかなか注射ができずにいました。そしていつもよりも少しだけ長い時間、その患者さんと話をしたのです。なんとか笑いをこらえて無事に注射が終わりました。麻衣はこんなに楽しく笑ったのは久しぶりで、前に笑ったのはどのくらい前?ふとそんなふうに思ったのでした。

例の患者さんは、病院の待合室で会計の順番待ちをしています。 たまたま忙しかったので、麻衣は会計作業を手伝おうと窓口カウンターに行きます。 本当のところはもうちょっとその患者さんを見てみたかった気持ちがあったのかもしれません。 麻衣はその患者さんの会計を担当し、名前が青山であることを知りました。 そして会計を済ませるために 「青山さん」 と呼ぶのでした。

青山がゆっくりと近づいてきて、麻衣が会計の金額を伝え、カウンター越しに青山の前にカルトンをおきます。 すると青山は受診料を麻衣に直接手渡しをしました。 麻衣はそのまま受診料を手で受け取り、金額を確かめたときに驚きます。 (小さな紙がある。)麻衣は急いでその小さな紙を隠し、会計を済ませて何事もなかったかのように終わらせました。

麻衣は会計が終わった後、すぐに別室に外します。そしてその小さく折りたたまれた紙を広げると、「よかったらもう一度お話ししたいので、お電話いただけませんか。070-xx・・・青山」と記載されていました。 麻衣はすぐにその紙を折りたたみそっとバッグにしまいました。

5話につづく

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