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ポンコツヤローの異世界放浪 LV11

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②ポンコツヤローの異世界放浪
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LV11:生と死の間で

オークの追撃から仲間達を逃がすため、タカとシゲは必死に戦います。まさに今、生と死の間にいます。「ヤベー。もう手に力が入らね~」そうシゲが弱音を吐きました。それは仕方ありません。重量が約10kgもあるバトルアクスをもう何時間も振り回しているのですから。

「シゲ、ここが踏ん張りどころだ。大けがをしているミツや魔力が尽きているヤナを逃がしてやらないと。タクボクが二人を守っているから、俺たちがここで足止めすれば必ず助かる!」そうタカが励ましますが、シゲからの叫び声が飛び出します。「俺はもう限界だ!このまま倒れちまうよ!死んじまうよ!」

 (ダメだ・・・シゲももう限界だ。俺ももう魔力がない・・・どうすれば・・・)タカが剣を振るいながらシゲを心配します。その時「ドコッ」非常に鈍い音が響き、タカがシゲを見ると、オークのこん棒がシゲの背中を直撃している瞬間でした。オークの渾身の一撃を受けたシゲは、前から崩れ落ち倒れてしまいました。

 「ファイアーボール!」カズキンが魔法を放ち、シゲの目の前に炎の球が着弾します。オーク数匹が吹っ飛び、これを見たタカがシゲを肩に担ぎカズキンとの合流を目指します。しかし、さらにオークの群れが次から次へと迫ってきます。(ダメだ・・・もう逃げきれない・・・)タカがそう心に思った瞬間・・・

 「うぉ~~~」「ドドドドドド」ハッと目の前を見ると、目前にカズキンが、そしてタクボク、ブー、ヤナ、アンザワそしてケガをしているミツまでが一斉にこちらに向かってきます。「お前たち・・・」タカはそれ以上言葉がありませんでした。「死ぬときは一緒だコラー!」、「一匹でも多く道連れだオラー!」みんなが口々に叫びます。

(俺もまだ倒れる訳には行かない。)タカは剣を握りしめ、オークの大群に突っ込んで行きます。(みんなありがとうよ。サイコーの仲間たちだぜ)タカは目に涙が溜まるのを感じながら、最後の力を振り絞ります。シゲもブーの最後のヒールで傷を治し、ふら付きながらもバトルアクスを振るいます。

 そんなポンコツヤロー達の奮戦も、30分も経過するととうとう疲労のピークがやってきました。最後の力を振り絞り、今度こそもう限界です。しかしこの激闘を見ている他のオーク達も、次々に仲間が打倒されている様を見て、ポンコツヤロー達に止めを刺すことが出来ずにいました。

ですがもう全滅は時間の問題です。肩で大きく呼吸をし、一歩も引かない気持ちのポンコツヤロー達でした。そんな時、オークの集団のちょうど真ん中で大爆発が起きました。「これは魔法だ!誰が?」タカは思わず叫びました。そして次々と凄まじい量の矢がオーク達に降り注ぎ、バタバタと倒れていきます。

ほんの数分で、目の前のオークが一気に倒されて行きます。「援軍だ~~~」アンザワが思いっきり叫びました。そうです。他の冒険者たちがとうとう追いついたのです。この瞬間に命が助かったことを理解したポンコツヤロー達でした。

「大丈夫か!?」先輩冒険者の一人がポンコツヤロー達に近づき、急ぎ声をかけます。「ダメです。もう一歩も動けません。」、「俺もダメです。」、「俺も」、「俺も」、「・・・」その時!「バカヤロー動けるかどうかを聞いてねー。生きてるか死んでるかを聞いてるんだ。死にそうなやつはいるか!」

先輩冒険者から怒号を浴び去られます。「すんません!多分みんなギリギリ生きてます。」思いっきりビビりながらカズキンが応えました。「ならいいここで寝てろ。後は俺たちに任せろ。」そう言うと、すごい勢いでオーク達を切り捨てていきます。まさに生と死の間から生を勝ち取った瞬間でした。「ヤベ~~先輩達、つえ~な・・」そうつぶやくのが先か、その場で気を失っていくポンコツヤロー達でした。

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